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『依存と反抗』

『依存と反抗』

佐々木先生を代表する名言の中に「子どもは依存と反抗を繰り返して成長する」という有名な言葉があります。

 本格的な反抗期は思春期にやってきますが、幼児期もたくさん反抗します。

 「反抗」は、「わがまま」と本質的には近いものがあります。佐々木先生はこのように言われます。

「うちの子はちっとも親の言うことを聞かなくて困っています。」という相談を沢山受けます。けれども、子どもはなにも意図的に反抗しているわけではありません。よく考えてみると、親の方こそ子どもに一方的にあれこれ押し付けて子どものいうこと(欲求)を聞いてやっていないことの方が多いのです。子どもは親への充分な依存なしには自律できないのです。

 子どものいうことをたくさん聞いてあげなければ、子どもは親の言うことを聞きません。子どもの要求の三つや四つを聞いてやって、親の言うことを一つ聞いてくれる、というぐらいの気持ちと余裕が子育てには必要なのです。親への依存経験のあり方を経験しながら、なぜ子どもは親に口答えや反発や反抗をするのか、一緒に考えてみましょう。

 自分の子どもを愛していない親はめったにいません。そして将来は社会的に立派な人間になって欲しいと願っています。ですから、将来のことを考えて、例えばピアノを習わせたり、水泳やそろばん塾に通わせたりもするわけです。その結果、子どもの時に身につけた知識や技術が確かに大人になった時に役立ち、感謝することがあるかもしれません。しかし、そうしたことの大半は親のお仕着せで、子どもが心から満足していることではありません。ピアノや水泳や塾が悪いとは思いません。しかし、親子の基本的な構図から見れば、やはり子どもの意思を半ば無視して、親の立場から子どもに良かれという大義名分でやっている訳です。ところが、子どもの立場から見ると、親にやってほしい事は沢山あります。赤ちゃんの時ならおっぱいが欲しい、抱っこをして欲しい。少し大きくなれば、本を読んでもらいたい、ハンバーグを作ってほし、Aちゃんの家へ連れて行って欲しい。これらを全てかなえてやるのは容易なことではありませんし、不可能です。親はその都度、どの要求を応えるか、取捨選択をしていくのですが、その際、特に重要なことは“他人では代わってやれないこと”に応えてあげることが大切です。

 例えば、金銭で買えるものは親でなくても祖父母が買ってくれる場合もあるし、大きくなれば自分でアルバイトをして買うこともできます。

 乳児期であれば“おっぱいが欲しい時にすぐに飲ませてくれた”、保育園や幼稚園の時“心のこもったお弁当を作ってもらった”というような心の満ち足りた依存経験を充分に親からしてもらった子どもは、比較的親の言うことをよく聞きますし、親離れや自立もスムーズに行くようです。そうしたベースがあって、プラスアルファとして子どもの将来を親心からあれこれ考慮するのが本筋だと思います。

いかがでしょう。「子どもの要求の三つや四つを聞いてやって、親の言うことを一つ聞いてくれる、というぐらいの気持ち」が必要なようです。子どもの要求を聞く前に、親の要求を押しつけていないか?常々問い続ける必要があるようです。


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