佐々木先生は、セミナー等で、常々「過保護に育てて、ダメになった子を、私は本当に見た事が無い」といっておられました。
一般的には「過保護」という言葉には「過干渉」と言う意味合いが含まれますが、佐々木先生は「子どもに望まれたことをするのが“過保護”」そして「子どもが望んでもいないことを親が先回りしてすることを“過干渉”」と明確に分けたうえで、次の様に述べています。
現在の母親のほとんどは「過干渉」です。「過保護」と「過干渉」は似たものととらえている人が多いようですが、全然違うのです。 過保護は自主的でイキイキした子どもを育てますが、過干渉は自立の芽を摘み、度が過ぎれば、子どもの人格を破壊します。
過保護とは「子どもの望んでいることを過剰にしてあげること」です。「抱っこして欲しい」「遊んで欲しい」「ハンバーグが食べたい」・・・これらを全て満足させ、それ以上のことをしてあげることなど、本来できませんから、完全な過保護になどなれません。ですから可能な限り過保護にしてあげることが大切なのです。
人間は「絶対保護してもらえる」と思うと伸び伸び行動が出来るものです。もしもあなたが海外旅行をした時に日本の大使館がしっかり守ってくれると思えば、楽しく伸び伸び観光できると思います。しかし、大使館の力のない国に行ったら、怖くて外出も出来ません。親子関係も同じです。いつでも守ってもらえると思うと、子どもは伸び伸び成長し、自分らしさを余すことなく発揮できます。
逆に、児童養護施設の子ども達は、幼い頃からすべて一人で出来る様に教えられます。けれども実際には一般家庭の子より自立が遅いのです。そこで、ある施設で「一人ひとりをえこひいきしよう!」「甘やかそう!」とやり方を変えたのです。するとそれまで一人でできなかった子が、どんどんできなる様になったそうです。
つまり、甘やかされ、えこひいきされたことで、子ども達は「自分は大事にされているんだ」と思え、その自信が「一人でやってみよう」という自立の原動力になったのだと私は思います。大切にされて初めて「自分は価値ある存在だ」と自覚できるのです。
「過保護に育てられた子は、自分だけを大切にし、他人をないがしろする子になる」と考える人もいますが、それは大きな間違いです。 誰かに大切にされなかった子が、どうして他者を愛したり、大切にしたり出来るでしょうか。自分が大切に保護された子が、人を大切にできるのです。 (佐々木正美 著書より)
「ママ、抱っこして!」「パパ、おんぶして!」・・・抱っこし過ぎて、おんぶし過ぎて、歩けなかった子など一人もいないのです。それどころか、そうしてもらった子ほど、精神的にもしっかり自立し、ワガママになど決してならないことを、私が出逢った沢山の子ども達や虹の子が、私に教えてくれています・・・。2019.9.30 山田 昇
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