
今日の日本では、多くの大人達が、「忍耐力をつけるには、小さい時から我慢することをおぼえさせること」だと思いこんでいるようです。そして、それを“習慣付ける”とか“しつけ”と言ったりします。
しかし、それは大きな間違いです。私の体験から、間違いなく言えることは“家で我慢させられている子程、園では、わがままになりがち”ということです。そして、小さな頃から我慢を多くさせられていた人程、何歳になっても、自分の欲求を優先させてしまい、上手く欲求をコントロールできない大人になっているように思います。
佐々木先生のこんな言葉が、見事に言い表していると思います。
小さな時から我慢することを教えないと、わがままになると思っている大人が、意外に多いんですね。しかし、我慢させると忍耐力が付くというなら、劣悪な施設に育った子ども達は、皆、忍耐強くなっているはずでしょう。でも、そうではないですよね。そういうことではないのです。
ある養護施設で、一人一人の子どもに、可能な限り手を掛け、心を掛け、“えこひいき”を心掛けたそうです。すると、どの子も自分ひとりで出来なかったことが出来るようになり、ルールも以前よりも守れるようになったそうです。
手を掛けられ、心を掛けられ、自分の欲求を満たしてもらえた子ども程、我慢することも出来るということです。もっとひらたく言えば、『お家に帰れば、わがままを聞いてもらえる。甘えられる。という安心感、確信が大きい子ほど、幼稚園と言う集団生活やルールに自分をあてはめ、我慢することができる』と言うことです。だって、家に帰りさえすれば、ワガママが言える訳ですから・・・。
近年、日本と中国の大学生意識調査が行われたそうです。そして、注目すべき点は、『幼い時のお母さんの香りや声、優しくされた記憶など、母親に対する愛着や良い想い出が多かった学生ほど、“自己肯定感”、“自尊感情”“将来の夢”、“希望”、“感動”、“意欲”そして“忍耐力”が豊かな傾向』を示したそうです。そして、中国の学生の方が、圧倒的に母親に対する愛着が大きかったそうです。
海外留学生数が急増している中国、激減している日本・・・。その差は明確です。
忍耐強い子に育てたければ、手を掛けられ、心を掛けられ、お母さんとの心地よい想い出をたくさん経験し、しっかりとした愛着の感情を育てることが大切なようです・・・。 2020.1.30 山田 昇
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