『“遊び”の中から育つもの』
子ども達は、遊びの中から多くのことを学び、生きる力を獲得していきます。
まず、自由に体を動かして遊ぶことによって、体力がつきます。そして、バランスが良くなり、自分の体をよく確認しながら自由に動かせる感覚を身につけます。手を使って遊ぶことによって、つまむ、握る、引っ張る、たたくといった感覚を会得していきます。これは日常生活において必要な動作です。また、例えば、泥だんごを作るという遊びをとってみても、その中で意識を集中させ、長い時間耐え、あれやこれやと工夫しています。遊びに没頭している子どもの中で、何事にも自主的に意欲的に取り組む姿勢が育つのです。これらの獲得によって、様々な力と自信が備わってきます。イメージも持てるようになります。お話しをしたり、絵を描いたりもできます。さらに物事の見通しを持てるようになってきます。
この様なひとり遊びの充実から、次には、仲間とかかわり合いながら遊ぶようになります。一緒に遊ぶ中で、ルールを決めたり、約束を守ったり、時にはものの取り合いやケンカもするようになります。その中から、相手の気持ちを考えられるようになったり、ルールの大切さを理解していきます。この頃になると、自己中心的な生き方から脱皮し、集団の中で生きていることを実感として受け止めることができるようになります。
仲間に遊びを“教わったり”“教えたり”という行動が見られるようになります。ごっこ遊びに見られる大人社会の模倣は、遊びを通して、子どもたちに、生活の知恵を教えてくれます。
遊び行動の多くは、人から言われてするものではありません。抑圧されたり、必要以上に管理され、子どもの方向を大人に決められてしまうと、子どもは受身な子に育ってしまいます。
それが“楽しいからする”のです。その“楽しさが分かち合えるからする”のです。“上手くいくと嬉しいからする”のです。そこには自由が保障され、心の開放があります。
遊びで、子どもは積極的に生きる力を獲得していきます。
ですから、逆に、最近、よく見る「遊ばない子」「遊べない子」は、とても心配です。汚れることを極度に嫌ったり、他の子を傍観していたり・・・。
しかし、こうした子どもはダメなのかと言うと、決してそうではありません。それまで育った、今の時代の環境や近所に遊ぶ子がいなかったこと、子どもに対する大人の接し方などが原因となることが多いようです。ですから虹の丘で、沢山、遊ぶことによって、これらの力を身につければよいのです。
人間の一生で、これ程幸福なときがあるでしょうか。この生きる喜びに満ちているとき、心をしっかり育てておけば、これから先の人生で荒波を乗り切る力となるに違いありません。子どもたち一人ひとりが、将来、社会の荒波を乗り越え、人の役に立ちながら、たくましく生き抜く為に、虹の丘では“この時期の遊び”を大切にしているのです。
「ぐりとぐら」中川季枝子さんのメッセージ
子どもの遊びと成長は切っても切れない関係にあります。しかし、あそびのあり方によっては、ゆがんだ成長をするかもしれません。問題は質です。子どもの要求を満足させ、心身を正しくのばす、本物の遊びを考えていくことが、幼児教育の根本ではないでしょうか。保育園も幼稚園も、本来、幼児たちの抱くように良い方向へ伸びたいと願う生命力に応えるためにあるのだと思います。
「エミール」を書いたジャン・ジャック・ルソーの遊び観
「子どもを愛するがいい。子どもの遊びと楽しみを,その好ましい本能を,好意をもって見守るのだ」
子どもが何もしないで幼い時期を無駄に過ごしているのを見て、あなた方は心配している。とんでもない。幸せに暮らしているのが何の意味もないことだろうか。一日中、飛びだり跳ねたり、遊んだり、走り回ったりしているのが、何の意味もないことだろうか。一生のうちで、こんなに充実したときが、また他にあるまい。