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執筆者の写真虹の丘

育ちの芽『約束を守らない子』



『約束を守らない子』


 「うちの子は全然言うことを聞かないんです」とか「約束を守らないんです」ということをよく耳にします。 何でも親の言うことを聞く子も逆に心配ですが、“言うことを聞かない”“約束を守らない”原因が親側にあることも多々あります。

 佐々木先生はこの様にいわれます。


約束という名の「命令」や「指示」ではありませんか?

“約束というのは自尊心が守らせる”のです。

 幼い子どもでもそうです。ですから子どもの中に“自尊心”を育ててあげないと、約束を守る力というものは育ってこないのです。自尊心は自己肯定感といってもいいですね。

 また、大人が幼い子どもに約束だと言っていることが、実は「命令」とほとんど違わないことがよくあるのです。約束というものは本来、対等な立場でするものです。子どもに無理難題を突きつけて「約束だよ」と言う。そしてうまくいかなかった時に「約束したでしょ」と叱る。けれども、それは課題が重すぎて守れなかったのかもしれませんし、守る意欲がなくて守れなかったのかもしれません。もう少し言えば、意欲の背景には“自尊心”が必要ですから、“自尊心”がちゃんと育っていないから守れなかったのかもしれません。

 私たちは約束が守れなかった時は自尊心が傷つくのです。自尊心がしっかりしている人ほど、強い人ほど、約束を守ろうとするのです。子どもも基本的なところでは同じなのです。子どもに約束を守らない機会を作ってしまうという事は、子どもの自尊心をますます壊していくことになるのです。

 守れないような約束を子どもに与えてしまうのは、下手な育児、下手な教育です。子どもの自尊心、自己肯定感を小さくしていく、失わせていくようなものなのですから。

 子どもを上手に育てるという事は、

“自尊心”をしっかり育てることです。

「こんな事はこの子は守れないかもしれないけれども、ひとつ頑張らせてみるか」などという賭けのような事は、幼い子どもの教育ではしてはいけないと私は思います。

 子どもが守れそうな約束をして「よくできたね」「約束を守れてお利口だね」こういう風に励ましながら、ゆっくり徐々に、約束の内容をステップアップしていく。あるいは自分から約束するよと言ってくるものを待って、それまでは優しい約束をというふうにご配慮下さると良いと思います。

 約束は命令や指示とは全然違うのです。子どもの教育でとても大切なのは、何かができるようにするということではなく、“自尊心”を育てるということです。

 何かができるようになると、本人の自信がつくから、何かできるようにしようとするばかりでは、逆に自尊心を傷つけ、自己肯定感を失わせてしまう。これは最悪の教育方法です。

 もう一度申し上げますが、守れる約束しかしないであげるのが親心だと私は思います。


いかがでしょう?

「うちの子は全然言うことを聞かない」と言う前に、我が子の自尊感情(自己肯定感・基本的信頼感)をしっかり育てられているか、無理難題の約束を押しつけていないか自問自答が必要です。

 子育てをひと言で言うと“自尊心(基本的信頼感)を育てること”正にそう思います。


2022.11

 山田 昇


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