4月は人生最初の発達課題「基本的信頼感(自己肯定感)」(0~2歳)“についてお伝えしました。それは“我が子が望んだことを望んだように、望んだだけしてあげる”しかも“喜んでしてあげる”ことで育つことをお伝えしました。
そして、基本的信頼感が育った人は、一生、安心して生きていけること。逆に育たなければ、その分だけ“引きこもり”や“うつ”“ニート”“自分探し”といった“危機的な人生”の傾向が強くなることをお伝えしました。
今月は2番目の課題「自律性」(2~4歳)です。自分をコントロールする力です。佐々木先生はこの様に言いました。
しつけでもっとも大切なことは、“待つ”ことです。子どもに何かを教えたら、自分で出来るようになるまで待つ。そうすることで、自律性が育ちます。
私は書家の相田みつをさんとの共著で『育てたように子は育つ』という本を作る機会に恵まれました。その本の中に相田さんの「待ってもむだなことがある」「それでもわたしはじっと待つ」という言葉があります。 子どもが育つことについて、こんなに意義深いことをよくも考え出されたものだと。
“今すぐに正しい行為をさせないと、正しい行為が出来ない子になると思っている大人が意外と多い”と佐々木先生は嘆いておられました。なぜなら、そうやって育てられてきた大人が多いからでしょう。しかし、それが間違えである事に気付いた大人から改めなければなりません。
そして、もう一つ大切なことは、自律性は基本的信頼感の上に豊かに育ちます。佐々木先生はこの様に言われます。
子どもにしつけをするとき、これくらいの気持ちになれたらいいですね。「早く早く」といわない。「まだできないの」と言わない。むだかもしれなくても待つ。
教えたこと、しつけたことを、子どもがいつ実践するか、自分で決めさせてあげるということです。子ども
に決めさせてあげるから、自律性が育つのです。
自律性は幼児期にもっとも豊かに育ちます。何かを我慢するという単純なものではありません。忍耐力のことではないのです。自分で自分の衝動を律するということです。自分で決めるんです。自信(基本的信頼感)が育っていないと決められません。ここに発達の順序があるのです。
自信が育っていない子に“自律性”を教える為にしつけることがどれだけ困難か、幼稚園、保育園の先生方ならすぐにご理解頂けると思います。
親の前では良い子、しかし、幼稚園では色々な意味で手のかかる子がいるんです。家庭では特に問題はなく、家でのしつけが良くできているが、園ではわがままだったり、自分を出せないでいる・・・そういう子の多くが学校でも社会でも手のかかる子になっていきます。
本当は、親にとっては手が掛かり、園ではルールを守れて意欲的でいい子という方が安心です。なぜなら、そういう子は、親に本気で向き合えているんです。親を信じて安心しているんです。だから、親の前では、だだっ子なんです。これが、基本的信頼感です。この基本的信頼感の上にこそ、自律性は豊かに育っていきます。
では自律性が育たないまま大きくなるとどうなるのか?
記憶に新しい事例では、国や社会から自粛を求められているにも関わらず、自分勝手に営業を続けるパチンコ店のオーナー。そして、そのパチンコ店に遠方からやっ来て並ぶ、そんな大人に、自律性が育たなかった程度に応じて、なってしまうのです・・・。
「そのままのあなたがいいよ」というまなざしで「望まれたことに喜んでこたえてあげる」ということ。
次には「こうするといよ。」と伝え、やり始めるのを楽しみに“待つ”ということ。
そして、“待つ”こととは“口だしをしない!”ということです。あれこれ言いたいなる気持ちをぐっとこらえて、黙って待つ!これを「無言の行」といった教育学者がいた位、“口出しは自律性の育ちを妨げます。”
口出ししないと言うことは、簡単ではないですね。特に我が子には・・・、特に第一子には・・・。
ですから、みんなで協力し合って子育てすることが大切なんですね。 2022.5.山田昇
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