入園式のご挨拶でもお伝えしましたが、幼児期は”意思の力”と”仲間と共感する力”を獲得していく時期です。将来、”役に立てる大人になる”ために、そして、”幸せに生きていく”ためには、絶対に必要な力です。
毎年、4月から5月の『育ちの芽』では、乳幼児期のこれらの力を獲得していく道筋を保護者の皆さんと確認しあっていきます。
エリクソンの発達課題の6歳までの三つの発達課題について確認します。
①「基本的信頼感」の獲得 (0~2歳)
②「自律性」の獲得 (2~4歳)
③「意志の力」「仲間との共感」 (3~6歳)
エリクソンは、最も重要な発達課題である「基本的信頼感」が人生の一番最初にあると言っています。
基本的信頼感(自己肯定感/自尊感情)とは
・子どもが両親(母)との間に強い情緒的絆を形成する中で、自分が両親(母)から愛され、大切にされている、そして、無条件に十分に、永遠に愛され続けるという実感
・この世に対して抱く信頼感「この世に受け入れられているんだ、信頼してもいいんだ」と感じて安心できる感覚
のことです。
そして、この基本的信頼感を獲得できれば、人は“一生、安心して生きていける”と言っていますが、獲得できなければ、危機的な人生を迎えるとも言っています。では、基本的信頼感はどうしたら育むことが出来るのか?親が『我が子に最初にすべきことは何か』を確認しておきましょう。
子どもは、お母さんを徹底的に信じるところから、自分の人生が始まります。これが基本的信頼感のもとです。ここで、お母さんのことをどれくらい信じることが出来るかが、その後、自分をどれくらい信じることが出来るかにつながっていきます。そして、お母さんに対する信頼を基にして、そのほかの人を信じることが出来るようになっていきます。
お母さんを徹底的に信じるには、お母さんが“そのままのあなたで良いよ”というまなざしで、“子どもが望んだことを望んだように、望んだだけしてあげる”。しかも、“喜んでしてあげること”がとても大切なことです。
子どもが望んでいることをきいてあげたからと言って、自分で出来ない子になってしまうことなどありません。お母さんに頼めば、たいていのことはいつでもやってもらえるということが、子どもに充分に伝われば、その後は自分でどんどんやり始めます。
次の発達課題は、前の発達課題の上に育ちますから、例えば、“自分が望んだことを望んだように母親にしてもらう”経験(発達課題①)が少なければ、自律性(発達課題②)は育ちづらくなります。自分の望んだことを望んだ通りに充分にしてもらうことの少ない子どもは、どんな教育や厳しいしつけを受けても、本当の意味での自律性は身に付きません。むしろ自律は遅れます。あるいは何歳になっても身に付かない人も沢山います。なぜなら、何より安定した依存経験が足らないからです。子どもは自分が出来ないから“甘える”のではなく、気持ちを満たして欲しいからそう言うのです。
くりかえします。
「母親が我が子に最初にすべきこと」は、“子どもが望んだことを、可能な限り、望んだように、望んだだけしてあげる”しかも“喜んでしてあげる”。つまり、【喜びの共感】です。
基本的信頼感をこの時期に獲得できれば、“一生安心して生きていける”のです。
2019.4.20 山田昇
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